ポンディチェリー〜ティルヴァンナマライ 移動

部屋に戻って12時前にチェックアウト、オートを拾って郊外にある
中長距離バスが発着するバスターミナルへ。
次の目的地、ティルヴァンナマライに行くバス停の番号を確認し、
広いターミナルをのこのこ歩いていると、美味しそうなビリヤニ屋が
あったので、そこでお昼を食べた。
食べ終わって目的のバス停に行くと、ちょうどバスが来ていたので
飛び乗ったら、整理券を買っておいで、と降ろされた。
整理券はどこで買えるのかしらんとまた戻ると、果たして、
さっき横目で見てゼッタイ並びたくないと思っていた長蛇の列が
その整理券売り場に続いているのであった。
半端無く人々が群がっている。
しかもさっきからほとんど列が進んでいない。
何事かと思い、そのへんにいた人に尋ねると、
ティルヴァンナマライにある聖山アルナチャラでは、
今晩、山の頂上に火が灯されるというお祭があるそう。
なので、尋常ではないおびただしい数のヒンドゥー教徒
そのお祭りに向かうため、バスに乗ろうとしているんであった。
祭り…、これは行くしかない。


ポンディの隣の駅からティルヴァンナマライまでは、列車も走っている。
バスで3、4時間の距離なので、列車で行ってもそう大して時間は
かからないはずだ。でも、その駅まで行ってまた行列が出来てたら?
仮にティルヴァンナマライ駅に降り立ったとしても、そこから
移動するのにまた行列が出来てたら?と考えると、
バスより列車のほうがいいという保証はどこにもないのであった。
でも、あのマナーがいいとは言えないインド人の行列に並ぶのは避けたい。
…と一人でぼんやり突っ立っていると、美術系の学生みたいなインド人の
男の子が話し掛けてきて、彼も友人らと今晩の祭りに向かうらしく、
私が整理券はもう取れたのかと聞くと、今友人が並んでるんだ、と笑っていた。
列車のことを話したけど、彼はあまりお勧めではないっぽかったので
やめることにした。
女性専用窓口があるよ、と言うので、仕方なくそれに並ぶことに。


インドの列車やバスの切符売り場には、たまに女性専用窓口が存在する。
ここの女性専用窓口には、やはり行列が出来ていたけど、
男性が並んでいるのよりは短かった。2、30人くらいか。
少し進むたびに足元のバックパックを抱えて前に移動していたら、
私の後ろに並んでいた面倒見のいいおばさんが、私の代わりに
整理券買ってあげるから、そこの端で待ってなさい、と請け合ってくれた。
ありがたく待っていたら、どういうわけか途中でおばさんは去ることになり
また私が並んだ。おばさんは私に並んでいた場所を引き継がせる、という
日本人にとってあまりにも当たり前な行動をしない、
したがって、私はまた最後尾に並び直す形になる。
しばらくするとまた後ろの人が声を掛けてくれて、私の代わりに
並んでくれると言う。


行列に並んだ人々は、やけにさばくのが遅い整理券売りに対して爆発寸前、
なぜか窓口の前でおばさん同士が取っ組み合いの喧嘩を始めた。
みんなそろそろ限界、男性も大声で激しく怒鳴ったりし始めた。
出てきた係員に掴み掛かる人もいる。
そして開いた係員出入り口に乱入する人々。
警察が出てきてとりあえず鎮圧。
…ひょっとして、これを例年やってるんじゃないんだろうか。
と熱くなった人々を冷めた目で見ていたとき、
さっき請け合ってくれたおばさんが、もう埒が明かないわよ、
といった感じで列を離れて去って行った。
彼女もまた並んでいた場所を私に引き渡すこともなく、
ふらりとその場を放棄するかのように離れて行った。


そこで私はヒッチハイクをしようと思い付いた。
ティルヴァンナマライは、位置的にポンディとバンガロールを結んだ線上に
あるので、バンガロールに向かう輸送トラックがあってもおかしくない。
早速バックパックを背負い、バスターミナルを出てすぐの
大きい道路に向かった。
すると間もなく、ちょうどよさそうな、車体にバンガロールと書かれた
トラックが通り、ちょっと先に停車した。
そのトラックを追いかけ、降りた運転手がしばらくして帰ってきたので、
ティルヴァンナマライまで連れてってくれないかと頼んだけど、
そのトラックはポンディを走るのだと言って断られた。
しばらく辺りでめぼしいトラックを張っていたけど、もう来なかった。


再度バスターミナルへ戻った。依然として行列がそこにあった。
うんざりしつつ観念して行列に並んでいたら、また乱闘騒ぎになり、
とうとう窓口にシャッターが下りた。
出入り口を覗いて係員に話しかけても、こっちを向いてもくれない。
諦めて、こうなったらチケット無しで強引にバスに乗ろうと思って、
乗ったら案外簡単に乗れた。
なんだ、初めから乗ればよかったのだ。
整理券はシートを取るための番号整理券で、それが無くても
席無しでよければ乗れたのだった。
あるいは、あまりに乗客が多いので、途中からシート無しでも
乗れることになったのかもしれない。
何しろ乗れた。
目的地までここから100km程度なので、3時間そこらで着くはず。