カニャークマリ 初日(前編)

一緒に到着した男子らは日帰りなので宿を取る必要がなく、
彼らと1時間後に会う約束をして、私はそこらにいた
ヒンドゥー寺院かロッジの守衛らしき人の案内で、
安宿のひとつに辿り着いた。
寝ているスタッフを起こして部屋を見せてもらい、そこに決定。
荷物を降ろして軽く寝るつもりが、深く眠ってしまったらしい。
大ボリュームのヒンドゥー教の縁起のいい歌が突如として流れ出し、
目を覚ますと6時だった。
朝のグループと約束した時間5時は疾うに過ぎていた。
カニャークマリに来たからには朝日を見ずして何を見よう。
日の出は6時半くらいか、と見当をつけて
身支度をして外に出ると、外はもう明るい。しまった。
急ぎ足でそこから程近い海岸へ向かうと、
海岸には多くのインド人観光客と巡礼客で賑わい、
道路沿いにはびっしりと露店がすでに商売を始めていた。


水平線上には雲がかかって、なかなか太陽は姿を見せなかった。
と、雲間から赤オレンジピンク…という感じの輝く太陽がちらり。
調子のいいインド人の若者、「ウォ!」とか「ホッ!」とか
方々から威勢のいい掛け声が上がる。
屋号を呼ぶような感じ。
ちなみにこの掛け声は、映画館で盛り上がるシーンのときにも
口笛と共に掛けられる。


みんな思い思いに朝日を拝んで、日が昇り始めると
軽食屋で軽食をとる者もいればチャイをすする者も、
そしてずらりと立ち並ぶ雑多な露店で
品定めしたりして、徐々に人々は方々に散って行った。


私は所持金がゼロだった。
昨日、コーチンでおろすつもりだったのが、結局おろせず
何とかなるかなーと思っていたら、実際、ほとんどアウトゾーンに入った。
バス代は出せたけど、宿に着いて、1泊分の200ルピーがすでに
出せず、所持金148.50ルピー、全部出さねばならなかった。
外に出てもチャイ1杯も飲めず、悲しかった。
でも“インドに2万円だけ持ってきたのよ!”と笑いながら言っていた
日本人女性の話を思い出し、耐えた。


大きめのホテルでトラベラーズ・チェックを現金化しようとしたけど
カニャークマリには、もとよりそのようなホテルは存在しなかった。
ロッジよりは高そうなホテルに行って、フロントで尋ねると
銀行が10時に開くから銀行に行くといいと言われた。
時計を見るとまだ7時前。
早くお金が欲しいなーと浮かない気持ちでいると
近くにATMならある、カードは持ってないのか?と聞かれた。
そうだ、VISAカードがある。
ATMでお金をおろした。


ここ最近、出費がかなり激しい。すぐお金が無くなる。
もう無駄遣いしません、と自分に誓った。