カニャークマリ到着

23日19時過ぎ、コーチンカニャークマリ行きのバスが発車して、
2、3度休憩が入った後、座席で深い眠りについていたら、
突然「マダム!マダム!(女性に対するインドの一般的な呼び掛け)」
と突付かれ、気が付くとバスは停車、人々はぞろぞろ降車していた。
腕時計を見ると午前1時。
カニャークマリ?」と聞くと、どうやらそうではないらしい。
コーチンのあるケーララ州のバス運営団体がストライキに入ったため、
ここから先はタミルナドゥ州のバスでカニャークマリへ行け、
ま、大体こんな意味合いのことを言われた。
停車している場所は、暗いけどチャイをやっているキオスクみたいなのが
何軒か営業していて、小さなバスターミナルらしい。
158ルピー払ったうち、33ルピーを返金してもらって
荷物をもって降車した。


困ったなと思ってぼんやりしていたら、同乗者に、
同じくニャークマリへ向かう若者5人組のインド人男子がいて、
私もカニャークマリへ行くと知り、親切にも仲間に入れてくれた。
彼らは仲良しグループで日帰り旅行に行くみたいな様子だった。


その男子らとはヒンディー語が辛うじて通じた。
ちょっと前からヒンディー語がほとんど通じなくなっていたので助かった。
「ヒンディーは喋れないけど、片言の英語を話す人」が
「どちらも話せない人」より少し多いかなという感じ。
彼らが現地の言葉でカニャークマリまでの行き方を確認してくれ、
間もなくやって来たバスにみんなして乗り込んだ。29ルピー。


次に到着して起こされると、2時半だった。再び乗り換え地点。
また男の子らが聞き込んで、3時半にカニャークマリ行きのバスが
ここを通過することを確認してくれしばし待機することに。


幸い、暑くも寒くもなく、蚊もいなくて、ただそよ風が心地よかった。
男子らはみな明るく、エネルギーを持て余しているかのように
大声で歌を歌ってみたり、勝手に踊り出したり、互いに突付きあったりして
笑っていた。
チャイを飲んだりしてやり過ごし、店の人が美味しそうな薄焼きパンを
焼いて、そろそろ明け方着のバス客のための準備を始めた頃、
不意に待ち受けていたバスがやって来て、私たちは荷物を抱え飛び乗った。
男子のリーダー格が「カニャークマリまで何ルピー?」と尋ねると
「たったの6ルピーさ!」と切符切りのおっさんが楽しそうに答えた。
バスはすぐにまた走り出した。
切符切りが今度はみんなに向かって「たったの6ルピーだ!」と
若者を歓迎するように言った。


明け方4時前、今度こそカニャークマリ到着。
バスが泊まったところから200メートルも歩くと、そこは
180度真っ暗な海だった。
カニャークマリ。
インドの最南端。
日の出も日の入りも拝める、大海原を臨む町。