コーチン 初日

シャワーを浴びて洗濯を済ませ、小銭とガイドブックを持って早速外出。
コーチンの人々の特徴としてまず目に付くのが
日傘を差している人が多い。女性に限らず男性も。
緯度が低いから、やっぱり日射によるダメージが強いのかも。
それかスコールが降るから折り畳み傘を持ち歩いてて
日が射しているときはそれを差してるのかも。


朝見た市場にまた足を運ぶと、野菜やら果物で賑わっていた。
ここらはケーララ地方と呼ばれ、ケーラというのはヒンディー語でバナナ、
本当にバナナの街って感じで、市場にすごくバナナが多い。
そんなにバナナ、誰が消費するのかと思うくらい、バナナがたくさん
市場に出回っている。もちろん茎ごと。
バナナを茎ごと売っているのを初めて見たのはどこだっただろう。
ハイデラバードだったかな。
とにかくワルダーでは見たことがなかったので衝撃的だった。


市場の奥に入らず、賑やかそうな通りを歩いていると
移動手押し車の軽食屋があって、見たことのない白い直径4センチくらいの
食べ物を売っていた。お米の粉でできたお菓子だそう。さっそく食べてみた。
外側は日本でもなんか食べたことあるような、もちもちとした甘みすっきり
の蒸した生地で、中心にココナッツの甘く煮たのが入っていて素朴な味わい
だった。
さらに歩くと、ふいにふわりとココナッツオイルのいい香りがした。
どこから来るのだろうとにおいに誘われて通りを歩くと、
おそらくサツマイモ、直径8センチ程度、2ミリくらいにスライスしたのを
おじさんが大きな鍋で油で揚げていた。
これ何ですか?と聞くと、おじさんが1枚食べさせてくれた。塩味。
その揚げ油がココナッツオイルだった。
ココナッツオイルはコーチンの名産品。
サツマイモ×ココナッツオイル。
私の大好物の組み合わせに大喜びし、早速10ルピー買った。
揚げたての粗熱の取れたのを、袋に詰めてくれた。


素朴な味わいのチップスをかじりながら、そのまま海側へ歩いた。
間もなくボート乗り場が見えた。
コーチンは小さな半島や人工の島があって、その間を橋のほか
市民の足である小型フェリーを使って安価で移動することができる。
フェリー乗り場周りには乗客目当ての移動手押し車の小さな屋台が並んでいて
そこでこの地方の名物、バナナの天ぷらを初めて食べた。
まずはこれを食べるべし、と私は思い込んでいたので、ちょっと嬉しかった。
思っていたほど、お菓子っぽくなく、あっさりとして、
それでいてねっとりとした食感。不思議な食べ物。
話しかけてきたおっさん、遊覧船の客引き。
バナナの天ぷら、味はどうか?とかブラックティー飲むか?とか聞いてきた。
ここでは、ブラックティーとミルクティー(チャイ)両方やっていた。
ブラックティーを試しに飲もうかと思ったけど
すぐ隣の店でスイカジュースをやっていたので、そっちに行った。
イカを粗絞りしたような感じで、冷たく冷やされてすごく美味しい。
初めて飲んだ。たぶんすこし甘みが加えてあるけど
ナチュラルでちょうどいい。スプーンが付いていて、それで
1口大の角のとれたスイカの果実をすくって食べる。
食べ終わり、客引きのおっさんに促されるままに、遊覧船に乗った。
30ルピー。おっさんは、またどこかへ行った。
船が出ると急に眠くなり、私は1時間の周遊時間の間、半分は居眠りしていた。
気が付くたびにかなり前傾姿勢になって眠っているんであった。
ガイドはもとよりなく、景色といっても、貿易船や人工島の倉庫が建ち並ぶ風景で
かなり退屈な風景だった。乗らなければよかった。


戻って、別の発着所まで歩き、ボルガッティ島という島に行く船に乗り
もともとオランダ人が建てた宮殿だという、現在では改装されて
ホテルとして利用されているボルガッティ・パレスというところへ
行ってみた。すごく広大な敷地と建物。プールなんかもある
閑静で広々としたテラスで、白人の壮年夫婦が寝椅子に横になっていた。
いかにもリゾートライフ。


時間をかけて敷地内を出て、来た方向と逆側に出て、そこでバスに乗った。
バスでもまた眠りこけてしまった。橋を渡って隣の半島に移って、
また船に乗って別の島に行こうと思っていたのに
木々の間を駆けるバス、その車内に吹き込んでくる
さわやかな風が気持ちよくて寝てしまい、
半島のかなり内部まで入り込んでしまった。
コーチンのバスは、窓ガラスがない。
その代わり、上にシートがぐるぐる巻きになって留めてあり
雨が降ったらそのシートを下ろすのだろう。
コーチンはこの時期だけなのか、湿度が高く蒸し暑いけど
走るバスに座るととても快適。


親切なバスの切符売りが面倒を見てくれ、折り返し地点で折り返し、
降りるべき場所で降ろしてくれた。往復で3時間ほどバスに乗っていた。
ここらでは、野菜と同じくらい、あちこちで露天商が魚を売っていた。
魚の消費量、日本より高そう。


また船に乗って、フォートコーチンと呼ばれる半島部へ移動。
ここでは、コーチン名物のチャイニーズフィッシングネットと呼ばれる
沖に広く張った網を海中に沈めて、そのまますくい上げて魚を捕獲する
独特の漁法をやっていて、捕れた魚を観光客が買って
傍にいくつも軒を連ねる屋台でそのまま調理してもらったりしている。
近くを通るといいにおいがした。


フォートコーチンから今度はバスに乗って、橋を渡って
もとのエルナクラムへ戻った。
街の大通りを歩き、途中、お気に入りのパラータと魚のカレーを食べ
部屋に戻った。魚は鯖っぽかった。


部屋に一旦戻って、夜9時頃、携帯電話のリチャージをしに外出。
ロッジ前の賑やかな小さな通りをいくら歩いても
リチャージできるお店が見つからず、そうこうしているうちに
雨が降り始めた。