マイソールの香油

声を掛けられてふらりと立ち寄った香油のお店で
きれいにデザインカットされ、すり合わせの蓋付きの
ガラス瓶に入れられたたくさんの種類の香油と、
人気のあるらしい香りの種類がリストアップされたボードを
感心してぼんやり眺めていると、
お香を作るところを見たことがあるか、とその若者が聞くので
ないと答えたら、中に座るように言われ、目の前で早速作るところを
見せてくれた。


ビャクダン(サンダルウッド、マイソールの名産)の粉とゴムの粉を
水で練り、ほどよい固さになったら適当な大きさの団子を拵え、
平たく伸ばし、20センチ程度の細い棒にそれを巻きつけるようにして
ごろごろ転がしながら形を整えていくと、あのお香が1本できた。


その店は私が欲しいと思っていたジャスミンのほか
バラなどの花系、果物系、ウッディ系などかなりの種類を揃えていて
リストの中から気になるのを指名すると、どんどん香りを試させてくれた。
そして顧客の国別の感想ノートがあって
日本のカスタマーブックを早速見せてくれた。
フランスをはじめヨーロッパ各国のノートには
どれも随分書き込みがあったけど、日本人客は数える程で
それでも、他店に比べ品質がいいだの、値段を吹っかけられないだの
いいことばかり書いてあって、購入リストを見ると、
大量に買って行った人もいるようだった。
店の男の子にいろんな香りを紹介してもらっているうちに
好きな香り4本(約10ml入)買おうという気になった。1本100ルピー。
昨晩、他の店で1ml入り10ルピーでバラの香りのオイルを買ったから
ま、そんなもんかなーと思った。
話を聞いているうちに、他にもお土産に買ってもいいかなーという気になった。
自分の選んだ香りをそれぞれ2本ずつ買うことにした。8本になった。
10本買えば、彫刻入りの木の箱に入れてくれるらしい。
悩んで10本買った。1,000ルピー。2,500円相当。


箱に入れられ梱包され、結構な体積と重さになってしまった。
旅をするのにこんな土産買うなんて、自分らしくないような気もしてきた。
王宮にこれを持って行くのもあれなので、一旦部屋に戻ることに。
行きと違う通りを歩いていると、アイスクリーム屋、同じような店が3軒
並んでいた。どこもフルーツサラダ添えをやっている。
客の入りのいい真ん中の店に入って、バニラアイスのフルーツサラダ添えを
注文。フルーツサラダがひんやり、いろんな種類のフルーツがそれぞれ
隠し味のように渾然一体となってすごく美味しい。
溶けていくアイスとの相性も抜群。11ルピー。28円相当。
目の前に座っているおっさん、通りを渋い顔して眺めながら、
チョコアイスのフルーツサラダ添えをゆっくり食べていた。