インド人のもてなし術

インド人ってとってもオープンなのか、人んちにふわりとあたかも
自分ちのように入ってくるので、私は今だ慣れず、気配で振り向くと
誰かいたりしてなんか落ち着きません。
誰も入って来ないように玄関扉をがっつり閉めとけばいいのですが
開放してたほうが風が入ってきて気持ちがいいし
出入りするのにいちいち開け閉めするのが面倒なときなど
つい開けっ放しにしています。そういうときに彼らはやって来ます。


私は常々インド人のそういうところが引っかかっていたのですが、
最近読んだ本にあったのですが、インド(ヒンドゥーに関して)では
誰も来ない家は神様から見放されているみたいな考え方があって、
それで客を家に招いてもてなすことをとても大事に考えているそうです。

たとえ家が小さくても粗末と思っていても恥ずかしがらない。
「別に悪い事をしているわけではない。自分が住んでいる所こそ城だ」
そうした自尊心を持っている。
         ――タゴール暎子著『わたしのなかのインド』より

そういう考えの人たちなので、部屋が狭いからとか、散らかっているからとか、
もてなす術がないからとか、そういった理由で知人を招かない日本人と
根本的に発想が異なるようです。
だからもてなすのもとても上手で、決して無理をせず、肩に力が入ってなくて
自然だし(ときに放置に近いくらい)彼らにとって家へ招く、もてなす
ということが特別なことではないことに気づかされます。

もしも客人が最も親しい親族であったり、友人であったりしたら
親愛の情は限りない。彼らは自分たちのベッドルームに招じ入れ、
ベッドに座って、それぞれあぐらをかいたり、サイドピローに
身を横たえたり、自由で楽な姿勢で話に興ずるのが常である。
                     ――タゴール暎子同著より

上の文を読んですごく私自身納得したんだけど、とにかくベッドで
楽になさい、とはよく言われます。欧米と違って、インド文化の中の
ベッドはソファ的な役割もまた大きく、みんなでベッドで思い思いの
姿勢でくつろぐ、という習慣があります。私はよそのおうちで
しかもベッドの上で楽にするのがまだまだ苦手で、ベッドに座っても
あんまりリラックスできず、身を固くしてちんまりすることしか
できません…。そうすると、楽になさい、と何度も促されます。
やっぱ窮屈そうに見えるんですかね?


…だから人のうちに入るのにためらいがないのかなーと。
ちょっと礼儀正しい人とかは「入っても?」と聞く人もいますが
隣の家族はだいたい空気のように入ってきます。
誰も来ないうちはさびしいです、プライバシーがどうこうとか
こだわる小ささを捨てて、公園のようにみんなが出入りする家も
素敵かなと。