ウダイプール2日目

なかなか建物および部屋がきれいで、少し高そうな感じな割に
宿泊料が安めだなと思ったら、部屋自体は2階なのだけど、
ここらの地形が起伏が大きいため、窓の外は1階、
つまり道路(といっても小路地)にダイレクトに面しているのだった。
昨晩、なんとなくそうかなと薄々は気づいていたけど。


朝、窓の外で男の子たちがクリケットか球蹴りしてる声で
目が覚めた。手押し車の物売りも、何度か窓の外を通って行った。
それでも2度寝、3度寝を繰り返し、ようやく起床、
まずブログ日記の更新に勤しむ。


身支度を整えて外出。
ウダイプールの美しさを何よりも演出しているのが
ピチョラー湖やファテー・サーガルといった
その昔、王が作らせた直径が数キロ単位の大きな湖。
そのピチョラー湖のラールガートが、
宿を出てすぐのところにあった。
“ガート”とは、インド人の生活と深く結びついた
沐浴したりできる階段状の岸辺のことで、
川沿い(特に聖なる川など)によく作られている。


そのラールガートからまっすぐに、レイクパレスという
タージ系列の高級ホテルが
湖に浮かぶように建っているのが見えた。水上パレス。
最初見たとき迷わず宮殿かと思ったほど超豪華な佇まい。
手元のガイドブックでは、シングルで1泊350ドル。
私の宿なら2ヶ月以上滞在できる値段。
あの中で何が行われてるんだろうか。
生演奏だろうか。高級スパだろうか。高級料理だろうか。
豪華なクリスタルのシャンデリアだろうか。
全部あるんだろうか。遠くからぼんやり眺める自分。


向きを変えて、近くのウダイプール最大の
ヒンドゥー寺院であるジャグディシュ寺院へ。
聳え立つ寺院の尖塔は遠くからでも建物の影から
見え隠れしていたけど、近くであらためて見ると
壁面に隙間なく彫られた数多の彫刻にしばし気を取られた。
ポーズを決めているのは神だろうか、それがびっしり、
行列をなした象がまたびっしり。
今日はヒンドゥーの暦でエカーダシーと呼ばれる日で
そのため本殿内では女性ばかりが賛歌を歌っていた。


しばらく寺院で賛歌に耳を傾け、寺院を出て
ぶらぶら参道を歩むと、ピチョラー湖に面して立つ、
かつて数世紀にわたって王家の人々が暮らしていた宮殿で、
今では博物館として一般に公開されているシティ・パレスの
入場口に辿り着いた。
でもカメラも何も持って出なかったので、
また明日にでも出直すことに。


また適当にぐるりと歩いた。土地の隆起が激しいので
ゆるやかな坂道もあれば結構急な階段もある。
ところどころで、自由気ままに食べ物を求めて散歩を続ける牛と、
飼い主に連れられた小柄なロバに出会う。


ガイドブックによれば、すこし先にムスリムの居住区があって
そこでムスリム料理のレストランがあるらしかったので
そこに向かって歩いたけど、観光地化されていないため
目立った看板もなく、昼間なのに薄暗くて怖かったので
こちらもまた出直すことにした。


それにしても、街のどこを歩いても、数メートルおきに
“Korea!Korea!”と声を掛けられる。
韓国人旅行者がよく来るのだろう。
ごく稀に“Japan!”と言う人もいるけど、
私はこのインドの観光地でならどこでもある、
人を国名で呼ぶのがいまだに肌に馴染まない。
しかも間違ってても何でも、当てずっぽうで言ってくる。
日本人の感覚では結構失礼だと思うんだけど、
国際的にはそうでもないのか。
今度外国人に聞いてみたいと思う。
失礼というか、それ以前に十分鬱陶しい。


そういえば、昨日アハメダバードで出会った
欧米人の1人バックパッカーの女の子は、
道を歩いているだけでオートのドライバーが
「どこに行きたいんだ?」とひっきりなしに声を掛けてくるから、
「どこにも行きたくないわよ!」って私怒ったわ、と言っていた。
私は鬱陶しいと感じても、彼ら相手に怒ろうという気になれない。


外で軽食を適当に食べ、部屋に戻って昼寝。
相変わらず部屋の中はひんやりしていて
ファンを回し過ぎると寒気がするほど。
大理石パワー、素晴らしい。
ワルダーも大理石敷きならよかったのに。


夕刻になってまた外出。
今度こそ、あのムスリム街に入っていくのだ。
途中でバッグをメインに置くお店に立ち寄った。
表に下げられている物のほか、リクエストすれば
どんどん出るわ出るわ、袋に入った在庫たち。
皮製の薄っぺらなバッグと、ミラーワークのある布製のを購入。
帰ろうとしたら、ショーケースの中のリストバンドに
目が釘付け。かわい過ぎ。ベルトと合わせて4本購入。
ラジャスタンの何が素敵って、
小物がほんとに特徴的で、デザインが豊富で凝っていて、
日本で見るインド雑貨は、ラジャスタン製のものが
じつはとても多いことに気づかされる。
あーずっと憧れていたラジャスタンには
やっぱりかわいい小物がたくさんあったんであった。


そして、結局ムスリム街ではレストランに辿り着けず、
お腹に相談するとそれほどお腹も空いてないようなので
ムスリム街の屋台で揚げたてのスナックを買い求め、
部屋に戻った。


最近食べた袋入りのスナック菓子で
<ラジャスタン風グリーンチャットニー味>というのがあったのだけど、
屋台で買った揚げ物が見事にそれと同じ味だった。
グリーンチリにレモンの酸味がプラス。
その州、その州味わいが異なるのも旅の醍醐味。
ちなみにこのスナック菓子はほかに
<ハイデラバード風トマト味>というのもあった。


夜になって花火の音、4階建ての宿の屋上まで駆け上がると、
湖のほうで花火が上がっていて、しばし見とれた。
あーでも、日本のあの技術レベルの高い花火とどうしても比較してしまう。
日本の花火の、あのまん丸で密度の高いきらきらは
インドでは見ることができない。


砂漠の国ラジャスタン。
その中の、人口湖のオアシスといくつもの真っ白い宮殿のある、
かつて王国だった、城壁で囲まれた街、ウダイプール。
両脇にびっしりと店が立ち並んだ無秩序な小路地がごちゃごちゃとしていているところが
ちょっと雰囲気がヴァラナシに似ていると思う。
人々が喋っているのがヒンディー語なのもうれしい。
なかなか気に入った。