アーナンダワン(ハンセン病患者コロニー)

7時15分発の列車が出発してから約1時間後、ワローラという駅で下車、
オートを拾って5分くらいで到着。
そこは<アーナンダワン(しあわせの森)>というところで
約50年前にBaba Amteという一人のインド人によって創立された、
ハンセン病患者のための大規模コロニー。


同行した女性は、以前もここに来たことがあるので、
着いて早速、内部の管理をされている方に私を紹介してくれ、
ゲストルームの確認をしてくれたので、
私は今晩、彼女と同じゲストルームに宿泊できることに。
ここは、見学やボランティアのためにインド各地及び世界中から
毎日たくさんの人が訪れ、宿泊施設と食堂は無料で利用できるように
なっている。


私に割り当てられたゲストルームには4つベッドが置かれていて、
1つは私たちと同年代のインド人女性が使っていた。
荷物を置いて早速、食堂に朝食をとりに。
コロニー内では、ハンセン病患者たちが生活しながら、元患者や症状が軽い人々は
内部施設の管理、運営の仕事を与えられ、給料をもらえる仕組みになっている。
食堂もやはり彼らによって運営されていた。
コロニー内に、耳の不自由な子供たちの学校もあるため、そこを卒業した男の子も
働いていた。


軽い朝食を終え、広い敷地内を散策することに。
オフィシャルなツアーは午後参加できるということなので、
午前中は同行の女性に内部を案内してもらった。
とにかく広い。
ハンセン病患者のコロニーとしては、おそらくインドで最大規模。
もともと荒地だった国の土地を、99年契約でリースしているそう。
荒地だったということを忘れてしまうほど内部は緑と花々に溢れ、
ピースフルで雰囲気はとてもいい。小さな野菜畑もあった。
いくつもある専門病院の他、居住区、内部の人で運営されるお店などを周った。
専門病院といっても、日本でイメージするような感じではなく、
入院が必要な患者のための病棟がほとんどで、病室はすべて大部屋で
一部屋に20前後ベッドが置いてある。
ほとんどが投薬と末梢神経の麻痺による怪我の治療を施されている患者。


お昼に食事を済ませた後、すこし部屋で休憩してからお茶を飲みに行き、
その後、オフィシャルツアーに参加。
中央に事務所や食堂、ここの創立者Baba Amte氏夫妻の驚くほど簡素な住まいが
あって、その周りにゲストハウスや病院や学校があって、さらに居住区が広がり、
そして周りに広大な畑や人工池や公園があった。
茄子、ほうれん草、キャベツ、サトウキビ、赤唐辛子、レモン、ヒマワリ等々、
いろんな畑があって、コロニー内でできる限り自給自足に近い生活をしている。
それからじゅうたんや綿製品、ハンディクラフトなどの工場、工房もあったし、
オイルを採る目的でダチョウも実験的に飼育していたし、
今日は見ることができなかったけど、ヤシやバナナ栽培がここらの気候に適するように
品種改良の試験を行っている研究所もあるらしい。
全員が全員、元患者や現在治療中の患者というわけではないそうで、
一部は健常者の人も中で働いているそう。


中心部までまた戻り、創立者のBaba Amte氏に会うことができた。
彼は92歳というご高齢、背中を患われているため、もう長いことベッドに寝たきりの
生活だけど、毎日17時には敷地内をベッドに横たわったまま散歩に出掛けられている。
話すことはできなかったけど、2回握手した。


ちょうど他州から修学旅行に来ていた女学生たちがいて、夕刻、彼女らと
おしゃべりしたりして過ごし、夕食をとった後、大晦日と朝のお勤めで
2人とも睡眠不足だったので、20時頃就寝。