インドの大学見学

インドの女子大生の友人が、大学でイベントがあるというので
大学の見学を兼ねて訪ねてみた。


学生たちが先生役を務め、先生方をもてなす、みたいな趣旨で
こういうイベントは私の学校でもあったので
日本の学祭のような、インドではメジャーな行事なのかもしれない。


友人の案内で大学に着くと、大勢の学生に紹介してくれた。
そのまま学長と副学長に引き合わせてくれた。
副学長は30代後半かと思われるほど若い男性だった。
その後、通りかかった先生方、それぞれ数学、化学、植物学の
専門の方に会い、挨拶。
理科大なので、理系ばかり。
物理学部、化学部、生物学部、動物学部、植物学部などがあった。


友人は学長役だった。スピーチもちゃんとカンペ無しで喋っていた。
イベントは数日間に渡るらしいけど、今日のメインイベントは
隣の市から著名人を招いての講演会、タイトルは<面接のテクニック>。
桑マン(桑野信義)みたいなインド人で、ネクタイ無しのスーツ姿
(インド人はあまりネクタイをしないようだ、特に田舎では。)、
パンチパーマ的ヘアスタイル、なんとなく胡散臭く
私の目に映ってしようがないその演者は心理学者らしい。
ヒンディー語で話していたけど、私の語彙力が追いつかず、
聴講者の学生らが、演者の言葉を受けて拍手喝采したり、
どっと笑ったりしていても、さっぱり意味がわからなくて
つまらなくなってきたので、途中で退席した。
せめてあれくらいは聞き取れるようになりたいなぁ。


招待してくれた友人の友人の男の子が、退席した私を気に掛けてくれ、
親切にも学内を案内してくれた。
友人は、「うちの大学はすごく広いのよ。」と言っていたけど
日本の大学を見慣れた私にとってはかなり小さかった。
教室を見る限り、学生数もかなり少ないようだった。


各学部の教室、図書館、コンピュータルーム、お茶をする部屋、
事務部などをひとつひとつ案内してくれた。


衝撃的だったのは、発生学の教室で、種々の哺乳類の胎児の
標本があったのだけど、その中にヒトの月齢の異なる胎児が
4体あった。最初、イミテーションかと思ったけど、
どうやら実物のようだった。周囲の音が遠ざかった。


胡散臭い心理学者の話す内容はところどころ聞き取れても
日本で使い古されたような言葉だったりするのに、
何度も拍手喝采したり、口々に己が意見を声にする聴講者、
微生物学やら発生学をやったからといって、依然、職の少ない
このインドで一体何になるのかという漠とした疑問、
そして“あの”標本…。
私にはどうも何もかもが現実とかみ合ってないように感ぜられ、
加えて自分のヒンディーがあまり上達していないのを実感し、
帰る頃にはかなり陰鬱な顔をしていたらしく、
記念に集合写真を撮られるとき、何度も“Smile!”と
笑顔を求められた。