アリプールの少女

土曜は午前中授業で、終えてさっさと戻ってくると
部屋に置きっぱなしにしていたケータイに着信履歴が5件。
3つ電話番号があるけど全部がワルダー市内。
きっとチャンダンだなー。
彼女はケータイを持っていないけど非常に電話に執着する人で
私と遊んでいるときも、誰に掛けてるのか知らないけど
しょっちゅうそこらへんの公衆電話から電話掛けて
長いときは10分くらい話してる。


公衆電話は、このあたりでは電話ボックスなど無く、
駄菓子屋兼雑貨屋みたいな小さな商店の店先に設置されていて
チャンダンは電話をするときに、私に
そこに座って待ってて、と言うのだけれども
“お座り”が苦手な犬さながら、
数秒で立ち上がって店を出、辺りをくんくんと物色し始めると
チャンダン、あるいは店にいた人を通じて、座っていろとまた命じられる。


部屋に戻ってしばらくしてケータイが鳴ったので出たら
果たしてその人だった。
そして何か言ってるけどよく聞き取れない、何度か聞き返して
飲み込めた瞬間、体が灰になりそうだった。
先日彼女の実家に行った際に会った子供たちの1人が
マラリアで亡くなったらしい。


チャンダンはそれから、今ワルダーにいるの、あなたはいつ
来れるの?と言うので、今日は16時から人と約束があると言うと
また、誰と?どこで?と聞くので、友達と町で。
雨、早く止まないかな。