アグラ到着

ジャイプールのバスターミナルを出て、
バスの中で睡眠不足を補い、何度目かの浅い眠りから覚めると、
そろそろアグラっぽかった。
<タージ・マハル>なんていう道路標識が見えた。
しばらくして、アグラがどの程度の都市なのかが一目瞭然の
ちっちゃなバスターミナルに到着した。


ガイドブックによれば、アグラからヴァラナシに
国内線が飛んでいるということだったので
ちょっと奮発して国内線に乗ることを考えていた。
なので、まず予約を入れなければならないので、
適当な旅行代理店に入り、その旨尋ねると、
ヴァラナシには飛んでいない、と言う。
おかしい。ガイドブックには書いてあるのに。
単に仲介しない、という意味の
インド人的言い回しである可能性が高いので
その代理店を後にして外に出た。


バックパックを背負って、あてもなくてくてくと歩きながら
フレッシュジュースのスタンドに荷物を降ろして、
何度か利用していて信頼を置いているデリーの旅行代理店に
携帯電話からTEL、アグラに支店がないか尋ねると、
残念ながらなかった。
ヴァラナシに行きたいのだと言うと、
飛行機は飛んでないから、夜出る列車に乗るといい、と
さっきの代理店と全く同じアドバイスをしてくれた。
さっきの代理店は嘘つきではなかったようだ。


とりあえず、夜まで暇になった。
せっかくアグラに来たのでタージ・マハルを見ようと思い、
重いバックパックを預けるためアグラ・フォート駅までリクシャで行き、
そこで荷物を預けた。
数年ぶりに見るアグラ・フォート、を素通り。


オートリクシャを拾って、タージ・マハルまでと言ったのに、
タージ・マハルから少し離れた商店街口のようなところで
他に乗っていた乗客が皆降りた。
するとドライバーが私にも、はい、ここまで、と
訳のわからないことを言う。
それがあまりにも癪に触る言い方だったから私はお金を払わずに降りた。
やっぱりアグラのオートリクシャの悪評はそのままだ。
あんな感じの悪いインド人、初めて見た。


仕方ないので歩くことに。
途中で道を尋ねたら、そう遠そうでもなかったので、てくてく歩いた。


やがて、いかにもそれらしい巨大な門構え、
そして驚いたことに200〜300メートルくらいの観光客の行列が
できている。
こんなにたくさんの人と一緒に見るのは正直嫌だなーと思い、
見る気が失せたので戻ることに。


そのタージ・マハルの西門から真っ直ぐ走る通りをてくてく歩き、
サイクルリクシャを拾ってまたアグラ・フォートに出た。
アグラ・フォート周りは駅があるのもあって
たくさんの露天やら手押し車のお店が出ていて賑やか。
そんな中を冷やかしながら目的もなく歩いていあると、
現地人に声を掛けられ、まあ座りなよ、みたいな感じで、
チャイ飲む?と言うので、いらないと言うと、
ラッシーは?と言うので、
ちょっと恐かったけど、それをもらうことに。
なんと言っても、アグラの治安の悪さは
旅行者の間ではとても有名。
チャイやラッシーに何か入ってるかもしれないと頭の隅で思った。
その人はなんか、インド版ジャイアンみたいな人だった。


ジャイアンがタージはもう見たのかと聞くので、
あの長い行列を見たら見る気が失せちゃったよ、
ここからの眺めで十分と私は答えた。

するとジャイアンが、夕方行くといいと教えてくれた。


ラッシーをすすりながら、
ヴァラナシ行きのフライトの件をまた聞くと、
彼もやっぱりヴァラナシ行きは飛んでないよ、という。
だから列車で行きなよ、とアドバイスしてくれた。


彼はじつは旅行代理店で仕事をしているらしく、
チケットを予約したほうがいいからと言って、
その店舗までバイクに乗せてってくれた。
悪徳業者がどの観光地よりも多そうなアグラでこの行動は
われながら結構ギリギリライン。
代理店にはボスがいて、先の代理店の人と同じく、
夜9時15分くらいのヴァラナシ方面の列車に乗ればいいと教えてくれた。
経験上、当日のしかもヴァラナシ方面の予約チケットは
難しいだろうなーと思いつつ、ま、取ってても悪くないので、
お願いすることにした。
ボスがバイクに乗って、早速予約チケットを取りに駅に出掛けた。
私は簡素な代理店でしばし待機。
今はオフシーズンだから仕事がないのだとジャイアン
アグラはもはや仕事がないから、次のシーズンには
彼はデリーに行くのだとか、そんな世間話をした。
ついでに携帯電話のチャージもしてもらった。助かった。


しばらくして戻ってきたボス、案の定、予約は取れなかった、と。
やむをえない、予約なしでまた乗るか。


列車の時刻までまだ十分に時間があるから、
タージ・マハルを見ることを勧められたので、それに従うことに。
ジャイアンが、またさっき出会ったところまで送ってくれた。
インド版ジャイアンは、雑だけどやっぱり根は悪くなかった。