ジャイサルメール到着

ジョドプールは砂漠の入り口の町、
そしてジャイサルメールは砂漠の中にある町。
それなので、ジョドプールからジャイサルメールの道中は、
乾燥した白っぽい土地だったり、雑草が適当に生えていたりで、
私が眠りこけている間にも
バスはどんどん無味乾燥な大地を突っ走っていた。


時折停留所から乗ってくる村人たちは、今まで見た人々と
服装やら顔立ちがどことなく異なり、特に女性のファッションは
特徴的だった。皆、概してアクセサリーを多く装着している。
日常的にじゃらじゃらと着ける習慣があるらしい。
サリーも、他の州と違って、上衣のようなのを着ている。


途中から乗ってきたおじさん、私の隣に腰掛け、
少し世間話をした。おじさんは耳が少し遠かった。
そして、こんなところで下車して一体どうするのかと思うような場所で
彼は降りていった。


19時半頃、ジャイサルメールのバスターミナルに到着するや否や、
客引きの青年に発見され、話し掛けられた。
あらかじめガイドブックで「城砦内にも宿泊施設がある」というのを
読んでいたので、そこに案内してもらうことに。


バススタンドを出て大きな道路を渡り、
小高い台形状の丘の上に建った城に向かってゆるい坂道を歩き、
途中で客引きの青年の勧めでオートに乗った。
客引きと結びついているため、タダで乗れるオート。


オートに乗って、城内入り口まですぐに辿り着き、
降りるのかと思ったら、驚いたことに砂岩で建てられた城の中を
オートは当たり前のようにさらに突き進んだ。
今までインドの城砦をいくつか見てきたけど、
中までオートが入れる城は初めて。
歴史的建造物というのは、入り口で入場料を払って、
あとは徒歩で観覧して回るものだと思っていたけど、ここは違う。
私を乗せたオートはカーブを描きながら上へと上る坂道を
もの凄いスピードで一気に走り上げ、
いよいよ城内の一番奥の広場、これ以上はオートが入らない、
というところでようやく停車し、私は客引きの男の子に促され下車した。


絶句。
第一印象は、“映画のセット”。
この城というのはいわゆる「お城」ではなく、
ガイドブックによれば高さ76メートルの小高い丘の上に造られた
砦で守られた小さな町、だった。
道幅1、2メートルほどの小路の両脇に、
見上げると特徴的な透かし彫りなど装飾的な外壁をもつ、
砂岩でできた直方体の家屋がびっしりと立ち並び、
1軒1軒を見るとゲストハウス、土産物屋、寺院、市民の民家などなど。
王宮ももちろんあるみたい。
城壁内に迷路のような小路が走りめぐり、その両脇に
美しさを競い合うような佇まいの建造物が並んでいる。
このあたり、さすが王の都。


いくつか宿の部屋を見せてもらい、3つ目のホテルに決定。
昨年末オープンしたばかりのこぎれいかつ
伝統的な佇まいの洗練されたホテル。「HOTEL BRIGHT」。


先の少年が、ジャイサルメール名物、<キャメル・サファリ>を
斡旋している業者を紹介するというので
シャワーを浴びた後、彼に付いて行ったら、
さっきここに来る前に彼が連れて来てくれた別のゲストハウスだった。


<キャメル・サファリ>というのは、砂漠をラクダに乗って歩くツアーで、
ジャイサルメールは砂漠の中に突如として出現したような町なので
砂漠には程近い。
そのゲストハウスの主人の説明を聞いて、さて値段交渉。
納得いくプライスまで値切ったところでお金を払おうとしたら、
手元の現金が不足していたので一旦取りに帰ると言うと
領収書を書いて渡してくれた。
交渉した値段の650ルピーを手にして戻って渡すと、
旦那が「領収書を見てみなさい」と言うので何のことかと思ったら、
650ルピーというのは1日当たりの料金であって、
私は1泊2日を希望したから1,300ルピーだ、と言うんであった。
そういうのは最初に言うべきであって、
あからさまに胡散臭いおっさんに嫌気がさして部屋に戻って就寝。